格助詞の「で」と「に」の誤用
—中国の日本語学習者の誤用を中心に—
1. はじめに
誤用とは無知や不注意などから、言葉などの使い方を誤ること、また、その誤った使い方という。吉川武時(1982)は誤用を次のように説明した。「近代言学は、ネーテイブ?スピーカーの発言するものはすべて正しい、という建前から出発している。(中略)したがって、ネーテイブ?スピーカーの発話には、(原理的に)誤用はないわけである。誤用が問題になるのは、その言語を第二言語として学習するときである。」実際にはネーテイブ?スピーカーの発言するものはすべて正しいというわけではないが、誤用は母語話者の誤用と第二言語学者の誤用と分類すべきである。
本文は非母語話者の中国人学習者が日本語の格助詞「で」と「に」を学習する場合に誤るものを中心に、アンケート調査を通して、誤用の原因をよく分析し、同じ誤用を避けようと思う。
格助詞の誤用についての研究は、多くの学者に行われている。たとえば、劉曼(2008)は、格助詞「に」の誤用を中心に、それと混用しやすい格助詞を分析した。また、楊吉平(2006)は、集めた誤用文を通して、誤りやすい格助詞を次々に説明した。学者王忻によって書かれた「中国人日本語学習者に見られる誤用の研究」を語彙編、文法編、誤用例集に分けて、存在を表す「で」と「に」の誤用にも及んだ。しかし、格助詞「で」と「に」の対比研究は少ない。 これらの研究は日本語の学習者の勉強にかなり役立つが、まだ不十分なところもあると考えている。誤用を研究する文は、「で」と「に」を研究中心としていない、あるいは、「で」と「に」の対比研究の文はただ用法について対比説明をしたが、誤用と結び付けていない。本文ではその両方を結び、それらの不足を補って、系統的に、全面的に「で」と「に」の誤用原因を分析しようと思う。
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