ぼくの靴音-堂本刚(3)

2018-11-22 22:40

か。

話してるうちに、自分の“恋愛したいモード”がどんどん上昇して行くのが解った。誰かの彼女を奪い取るという経験はないのだけど、相手を全身全霊で好きになって、奪い取ってしまうような激しくてドランチックな自分を見てみたいって気もして来た。そして、それが最後の恋になると良い。そう云ったら、友達には「早過ぎますよ。だって剛君、まだ二十一歳ですよ」と驚かれたが、基本的にはそういう気分。次に出逢う人が最後の人…というか、ずっとずっと好きでいられる人だと良い。逆に、恋愛ってそういうものでしょ。“今はこの人と付き合ってるけど、また別の人を好きになるやつ”なんて思えない。

「とはいえ…」と、此処で、僕の話は何時もの結論に向かってしまう。好きというだけで相手に気持ちを伝えて良いのか。彼女の負担になるかも知れないし、混乱させるだけかも知れないし…。 「剛君、そんなんだから、何時まで経っても彼女が出来ないんですよぉ!」

少し…どころか、かなり深くへこむ僕。心の中で“君もね!”と呟く…だけでは不公平なんで「君もね!」と云い返した。浅香光代さん風にキッパリと。現在、彼の心もロンリーハートなだけに、この言葉は効いた。それで引き分け。 両者、身も心もボロボロになり、しばし無言で闘いの余韻に浸った。静寂…。

「やばいよ!」突然、彼が静けさを破った。 「剛君、六畳一間に完璧にマッチングしちゃってる。日本のアイドルがそんなんで良いの!?ほんとにアイドルの方ですかぁ」

僕も僕で「えっ、僕、アイドル…」また自分の事忘れてしまっていた(!?)。

イカンイカン!オカンオトン!オジンオバン!オトンオトン!あつ、オトンは二回云うてもうた。でも、僕自身は、六畳一間にハマっている事が凄く嬉しかった。何も云えないくらいハマり過ぎてて、どうしたら良いかわからないくらい。 ベッドも近い、テレビもテーブルも近い、電気をつけたり消したりするのもヒョイと手を伸ばすだけで良い部屋。彼の努力や、正しさや、夢がいっぱいで詰まってる部屋。確かに、僕は現在もっと広い部屋に住んでいる。快適だけど…何かが違う。昔はおとんの建てた家に住んでたから、アパ

ートで一人暮らしをした経験はない。だから、贅沢で失礼な事を云うやつだと思われるかも知れないけど、僕は、彼の六畳一間が好きだ。 そして、そこで彼と話す時間もね! 出逢い

人間ってさあ、たくさんの出逢いがあって生きている。たくさんの出逢いがあるからこそ生きられる気がするんだ。

この世に生まれた瞬間から、日々、一秒一秒ごとに出逢いがある。例えば今日。目が覚めて、窓を開けて、冬の空気に出逢った。あっ、今日は特に肌寒いなって感じた。そういう事を敏感に感じてる自分と出逢えて嬉しかった。何も感じず、出逢いを出逢いとも思わず、あっさり通り過ぎてしまう生き方はつまらない。微妙で小さな出逢いにも感謝して生きたいと思う。

今日は、それから、美味しい朝御飯を食べた。おかんが、豚肉を薄焼き玉子で巻いたみたいな不思議な料理を作ってくれて。新メニューとの出逢い。「なんか甘いものが食べたいな~」ってリクエストしたら、デザートに白玉あんみつも作ってくれた。

おかんの優しさとは、もう数れ切れないくらい出逢ってるなあ。

たくさんの出逢いによって、現在の自分が存在している。人、自然、言葉、夢…色んなものに出逢って、時には愛され、時には憎まれ、色んな感情が自分の中に生まれ、その感情に従って行動して、堂本剛という人間が形成されて行く。出逢いによって、刺激を受けるし、成長もするだろうし、自分がどんどん変化して行く。出逢いをどう受けとめるかは自分次第。まあ、出逢いを全て丸呑みする必要もないけど、知らんぷりするよりは、取りあえず受けとめてみたいな。

結局、マイナスになったとしても、その事にもきっと意味がある筈。その時流した涙も、何時か希望とか勇気とかに変わるかも知れないし。何か辛い事に出逢ったとしても、それによって人の痛みを解ってあげられる人間になれるとしたら、意味のある事だと思うし。

苦しみの中で出す答えは、生きて行く上で大きな支えになる。きっと。

僕という人間は、結構、気分のアップダウンがある。時々、いけないと解っていながら自分の気持

ちを上手くコントロール出来ず、周囲に対して不機嫌な態度を取ってしまったりする。で、うちに帰って、なんであんな事を云っちゃったんだろうと自分自身を責めるパターンが多い。そんな自分を取り除けるものなら取り除きたい。そしたら、うーん、複雑に考え過ぎるのは、しんどいもんな。言葉は便利だし大切だけれど、言葉が溢れてる今、言葉によって物事が複雑になってしまう事は多い。言葉を使わずに解り合えるなら、その方が素晴らしいと思う。言葉があるから嘘も生まれるし理想とする自分に近付けるのに…。つい最近、そんな話をある友達に聞いて貰った。

「でも、そんな風に思いながら生きて行くのが人間なんちゃうの」

友達は云った。そうやって、いちいち悩んだり迷ったり反省したりしながら、理想に近付く為に生きて行く方が、人間臭いし、好きだけどな、と。「その方が、何より、剛らしいよ」という言葉を聞いて「ああ、そっか」って思った。友達の言葉に、なんだか凄く納得してしまった。 ああ、こうなったら思いっ切り人間臭く生きてやる!

多分、あっけなく理想の自分になれちゃう人生ってリアルじゃないよね。めちゃくちゃ勉強してテストで百点取れたら嬉しいけど、苦労せずにいきなり百点取ってもあんまり嬉しくないっていうか。そりゃラッキーだけど、手応えは感じないと思う。それよりも、めちゃくちゃ勉強して、結果、十五点なら、それはそれで自分に対して「うん、僕はやるだけやった」と頷けるからOK。愛や夢だけでなく、孤独、不安、挫折、苦痛、困難…辛い事に出逢って、様々な感情が自分の中に現れるけど、自分自身で精一杯受け止めて、頷けさえすれば、それは正しいんだよ。マイナスの事でも、自分の捉え方次第で、プラスにもなる。そんな風に出逢いを積み重ねて生きたい。

そして、最後の最後、この世に別れを告げる時「ああ、おもろかったなー」って笑いたい。ゴールまでの長さは人それぞれ違うけど、要は、今この瞬間、自分が自分に頷けるかどうかって事…。 友達の言葉と、それによって自分の中に生まれた思いは、最近の一番大きな出逢いだった。 出逢いがあれば、別れもある。日々、一秒一秒ごとに何かにサヨナラしてるって云えるのかも知れない。だけど、別れっていうのも、別れという名の出逢いなんじゃないかなあ。そんな風に考えられるのは、僕が今良い状態にあるからなあ。なんでも前向きにシンプルに考えた方が美しいって、今の僕は思ってる。

…。大昔、まだ言葉がなかった時代、物事はもっとシンプルでストレートだったに違いない。好きだと思えば、キスして表現するとか。相手の発している空気で気持ちを読み取るとか。喜び、欲望、怒り、恐れ…ささやかな出逢いに対して、今の何十倍も敏感だった筈。生活自体もシンプルで、今日の食料は、今日、男の僕が捕りに行くみたいな世界。ちょっと憧れる。いや、かなり。狩りは狩りで、凄くしんぢやろうけどさ!?

今、出逢いたいのは…真っ青な“男前!”って感じの空。で、肌に触れる空気はキリッと冷えていて、気持ちもキリッと引き締まる感じが良い。僕は鼻唄まじりでスタジャンかなんかを羽織って、車で出掛けるんだ。行き先は、のほほんと過ごせるカフェ…。

そんな出逢いをただ待ってるだけじゃなく、睡眠時間をちょこっと減らしてでも、自分から作ろうかな。そう、出逢いは、待っているだけでなく、自分から感じたり作ったりする事が必要!


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